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民俗学

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令和7年度以降入学者 民俗学
令和2年度以降入学者 民俗学
教員名 野村典彦
単位数    2 学年 1~4 開講区分 文理学部
科目群 総合教育科目
学期 前期 履修区分 選択
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業を原則とする。
感染症の流行などの状況によっては、オンデマンド型授業を行う可能性もある。
授業概要 非日常の言語活動である「かたり」の世界を中心に、口伝えの説話を考察する。
文字の世界と口承の世界との関係、伝承の背景にある社会の状況も視野に入れる。
授業のねらい・到達目標 〈授業のねらい〉
伝承文学を学ぶ基礎力を身につけるとともに、顔を見ておこなう生身のコミュニケーションが失われがちな今日の生活を省みる手がかりを得られるようにする。前近代の日本人と神々との交流を理解する。
近年、医療や福祉の現場でも用いられるようになった「かたり」が、民俗社会の中で果たしてきた意味を理解する。
〈到達目標〉
近代化の中で日本人が手放した考え方を説明できる。各地の生活に根差した多様な価値観を認められる。
〈日本大学教育憲章との関係〉
この科目は文理学部のディプロマポリシーDP1,2,3及びカリキュラムポリシーCP1,2,3に対応している。
・経験や学修から得られた豊かな知識と教養に基づいて、日本文化研究の役割や倫理的な課題を理解し説明することができる。(A-1-1)
・日本文化を学びながら、それと深く関わる世界諸国の歴史や政治、経済、文化、価値観、信条などの現状を概説できる。(A-2-1)
・日本文化研究を中心としながら、仮説に基づく課題や問題を提示し、客観的な情報を基に、論理的・批判的に考察することの重要性を説明できる。(A-3-1)
授業の形式 講義
授業の方法 資料を参照しながら、内容を説明。
中間課題は講義を進めながら発表、講評する。
期末課題は6月中旬に発表する。
フィードバック方法等については、授業内で指示する。
教室における対面授業に出席できない者に対しては、後日、Canvas LMSに授業音声・資料を添付(各回ごとに課題を提出)するので、基礎疾患があるなどの事情を有する者は、4月中に申し出ること。
履修条件 授業開始前にCHIPSによる抽選を行う。
授業計画
1 説話の伝えること ―『今昔物語集』と猫肉のハンバーガー―
【事前学習】芥川龍之介『羅生門』を読み直しておく。 (2時間)
【事後学習】話型の伝承について確認する。 (2時間)
2 三輪山神話 ―蛇にみこまれた女―
【事前学習】助動詞「けり」の働きを復習しておく。 (1時間)
【事後学習】神話・伝説・昔話・世間話、それぞれの違いを確認する。 (3時間)
3 ザシキワラシと異人殺し ―『夢十夜』第三夜―
【事前学習】『遠野物語』のザシキワラシが登場する話を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】民俗社会の心意を確認する。 (2時間)
4 『遠野物語』の誕生 ―こっくりさんと怪談会―
【事前学習】『遠野物語』の「初版序文」を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】明治期の作家たちと柳田国男の関係を確認する。 (2時間)
5 『遠野物語』の描くカッパ ―観光と伝承―
【事前学習】『遠野物語』の河童が登場する話を読んでおく。 (1時間)
【事後学習】遠野が「民話のふるさと」であることについて自分の考えをまとめる。 (3時間)
6 昔話の伝承形態 ―相槌の意味―
【事前学習】『遠野物語』の「昔々」の話を読んでおく。 (1時間)
【事後学習】昔話をかたる際の約束事を確認する。 (3時間)
7 バスガイドの1927年 ―民謡・伝説の楽しまれ方ー
【事前学習】太宰治『富嶽百景』、「富士には月見草がよく似合う」の場面に目を通しておく。 (1時間)
【事後学習】柳田国男の口承文芸研究が構築される背景を確認する。 (3時間)
8 桃太郎の1930年 ―岡山の桃太郎が怠け者であること―
【事前学習】犬山の桃太郎神社・岡山の桃太郎伝説について検索しておく。 (1時間)
【事後学習】柳田国男の口承文芸研究が構築される背景を確認する。 (3時間)
9 話は庚申の晩 ―チンギス=ハーンが源義経であること―
【事前学習】「弁慶の立ち往生」について確認しておく。 (2時間)
【事後学習】『八甲田山』『アラジン』(実写版)『男たちの大和』『この道』などの映画の「語り」を確認する。 (2時間)
10 鮭の大助がくる晩 ―魚の背に乗ってきた男―
【事前学習】第9回の授業をふまえ、第6回の授業の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】かたりが行われる時を確認する。 (2時間)
11 おとぎ話の「トギ」 ―モノガタリをする晩―
【事前学習】第6回、第9回、第10回の授業の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】折口信夫の「お伽話」論を確認する。 (2時間)
12 11月23日の来訪者と小林多喜二 ―飢饉の記憶と民俗学―
【事前学習】白樺派やプロレタリア文学について知識を得ておく (2時間)
【事後学習】第8回の授業とあわせ、柳田国男の民俗学が整えられていく時代背景を確認する。 (2時間)
13 「夕鶴」と炭鉱の幽霊 ―「民話」と日本人の戦後―
【事前学習】木下順二『夕鶴』の内容を確認しておく。 (2時間)
【事後学習】「民話」という語が民俗学において用いられない理由を確認する。 (2時間)
14 学校の怪談 ―松谷みよ子の訴え―
【事前学習】『龍の子太郎』『怪談レストラン』など松谷みよ子の仕事を確認しておく。 (2時間)
【事後学習】「学校の怪談」についての理解を深める。 (2時間)
15 現代の伝承 ―汽車に化けた狸や狐―
【事前学習】近代社会における説話の受容と「昔話・伝説」研究の展開をまとめておく。 (3時間)
【事後学習】日々の生活における「かたり」と「はなし」の意義を確認する。 (3時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 柳田国男 『遠野物語』 文庫本。各社の違いは授業で説明する。
『野村純一著作集 全9巻』 清文堂出版
野村敬子  『語りの回廊』 瑞木書房  2008年
野村典彦 『民話という視座―非戦・反戦の思想と行楽・観光のはざまに―』 清文堂出版 2025年
野村典彦 『鉄道と旅する身体の近代―民謡・伝説からディスカバー・ジャパンへ― (越境する近代 10)』 青弓社 2011年
成績評価の方法及び基準 レポート:中間課題と期末課題。詳細は授業内で指示する。(85%)、授業内テスト(5%)、授業参画度(5%)、授業時提出物(5%)
中間課題と期末課題の比は「4対6」とする。
期末課題が提出されなければ評価は「不可」とする。
オフィスアワー Canvas LMSを用いて授業に関する質問を受けつける。

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