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令和6年度以前入学者 | 美学演習3 | ||||
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教員名 | 高橋陽一郎 | ||||
単位数 | 1 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学科 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業形態 | 対面授業 |
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授業概要 | 2025年度の演習は「<歴史の終焉>と藝術」をテーマとして掲げ、前学期(「美学演習3」)と後学期(「美学演習4」)とでそれぞれ別の著作を読む。「美学演習3」では、現代イタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben, 1942~)の『創造とアナーキー:資本主義宗教の時代における作品』(2017年)を講読しながら、資本主義時代における「藝術」及び「作品」について考察する。 |
授業のねらい・到達目標 | 美学研究から出発したアガンベンは、美学を藝術の学から系譜学や考古学の方角に向けて変え、さらに政治と経済の学にまで拡張した。その根底にあって現代を代表してもいる彼の危機意識の発露は『ホモ・サケル』―人間を「例外状態」に陥れそこからの救いも保証する「法」世界に対する告発―で頂点に達したが、その彼が『ホモ・サケル』の目でふたたび藝術を見つめ直した小著が、本書『創造とアナーキー』である。彼がフーコー、ベンヤミン、ハイデガー、アーレント、カール・シュミットなどから受け継いだ「現代」へのまなざしは、この時代において哲学の可能性を開くための一つのあり方を示している。受講者は本書の講読を通じ、現代社会と藝術の関係をその深層から透視する力を身につけることができると期待される。 ・思想・芸術・宗教の観点から,世界の現状をその歴史的背景とともに理解し,さまざまな思想的課題に取り組むことができる。(A-2-4) ・文献や資料の読解・解釈を通じて,あるいは,現代の思想的状況を注意深く考察することによって,哲学的問題を発見し,複数の解決策を比較しながら自分の立場を決めることができる。(A-4-4) ・さまざまな人とコミュニケーションをとり,傾聴力と発表力に基づいて,合理的な議論を推進することができる。(A-6-3) この科目は文理学部(学士(文学))のDP及びCPの2,4,6に対応しています。 |
授業の形式 | 演習 |
授業の方法 | テキストに基づき、現代と藝術と作品の関係をめぐって、演習形式の授業を行う。本テキストで言及されている種々の文献も参照しつつ、討論を通じて指導を行う。後学期末に自分の関心と授業内容を結び付けて1500字前後の総括レポートとして提出していただく。 なお、授業計画は講義の進捗状況に応じて、変更されることがある。 本授業は、演習の性格上、対面授業とし、課題学習等の遠隔措置は取らない。 |
履修条件 | なし |
授業計画 | |
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1 |
ガイダンス:ジョルジョ・アガンベンの経歴と問題意識について(A-2-4)
【事前学習】20世紀以降の現代イタリア哲学について調べ、ノートしてくる。 (1時間) 【事後学習】フーコーまたはベンヤミンの問題意識からアガンベンの現在の立脚点を照射する小レポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
2 |
『創造とアナーキー』第一章「藝術作品の考古学」講読―アリストテレス哲学と「作品」概念―(A-2-4)
【事前学習】アリストテレス哲学の性格について、学び直した内容をノートしてくる。 (2時間) 【事後学習】フーコーの「知の考古学」という考え方について、調べたことことをノートしてくる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
3 |
『創造とアナーキー』第一章「藝術作品の考古学」講読―いま、デュシャンはどう評価されるべきか―(A-4-4)
【事前学習】デュシャンというアーティストをいままでどのように考えてきたか、自分なりにメモを作ってくる。 (2時間) 【事後学習】授業の内容を振り返りつつ、現代アートの問題点について1000字程度でまとめる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
4 |
『創造とアナーキー』第二章「創造行為とは何か」講読―ドゥルーズとアリストテレスからの出発―(A-2-4)
【事前学習】アリストテレスのデュナミスとエネルゲイアについて調べ、メモしてくる。 (2時間) 【事後学習】テキスト39~54頁までの内容をノートにとる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
5 |
『創造とアナーキー』第二章「創造行為とは何か」講読―「無為(inoperosità)」について―(A-4-4)
【事前学習】アリストテレスとドゥルーズの作品概念をノートにまとめてくる。 (2時間) 【事後学習】テキスト55~71頁までの内容をノートにとる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
6 |
『創造とアナーキー』第三章「我有化しえないもの」講読―ハイデガーとフランチェスコ会士とにおける「貧しさ(povertà)」の概念について―(A-4-4)
【事前学習】テキスト73~88頁までを読み、わからないところを書き出しておく。 (2時間) 【事後学習】テキスト73~88頁までの内容を、ハイデガーの概念を事典等で調べながらまとめる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
7 |
『創造とアナーキー』第三章「我有化しえないもの」講読―「身体」をめぐるリップス、フッサール、レヴィナスの思索:フッサールの挫折―(A-4-4)
【事前学習】リップスやレヴィナスの思想を調べたうえで、テキスト88~101頁までを読む。 (2時間) 【事後学習】テキスト88~101頁までの身体論をまとめる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
8 |
『創造とアナーキー』第三章「我有化しえないもの」講読―「マニエリスム」をめぐって―(A-2-4)
【事前学習】テキスト101~104頁までを「マニエラ」の概念に注意しながら読んでまとめておく。 (2時間) 【事後学習】「我有化しえないもの」という題名の小レポート作成へ向けて準備する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
9 |
『創造とアナーキー』第三章「我有化しえないもの」講読―「風景」をめぐって―(A-2-4)
【事前学習】テキスト105~117頁までを読み、本テキストにおける「風景」の概念についてまとめておく。 (2時間) 【事後学習】「我有化しえないもの」という題名の小レポートを仕上げる。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
10 |
『創造とアナーキー』第四章「命令とは何か」講読―「命令の考古学」:シュールマンのハイデガー論『アナーキーの原理』からの出発―(A-6-3)
【事前学習】テキスト119~124頁までを読み、「法」と「命令」についてメモを作成する。 (2時間) 【事後学習】「起源なきもの」としての「アナーキー」という題名の小レポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
11 |
『創造とアナーキー』第四章「命令とは何か」講読―「哲学は命令について反省してこなかった」をめぐって―(A-6-3)
【事前学習】テキスト124~133頁までを読み、「命令」概念を中心に内容をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】「哲学と命令」という題名の小レポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
12 |
『創造とアナーキー』第四章「命令とは何か」講読―「世界の存在は命令に対応していない」をめぐって―(A-6-3)
【事前学習】テキスト133~148頁までを読み、「存在」ないし「世界」と「命令」との関係についてノートする。 (2時間) 【事後学習】アガンベンにおける「命令の考古学」という題名の小レポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
13 |
『創造とアナーキー』第五章「宗教としての資本主義」講読―資本主義社会における礼拝とは何か―(A-4-4)
【事前学習】テキスト149~156頁までを読み、ベンヤミンの関心をノートしておく。 (2時間) 【事後学習】資本主義社会における「礼拝」というレポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
14 |
『創造とアナーキー』第五章「宗教としての資本主義」講読―貨幣クレジットの宗教世界―(A-4-4)
【事前学習】テキスト156~160頁までを読み、キリスト教と資本主義社会との関係についてメモする。 (2時間) 【事後学習】資本主義社会における「クレジット」という題名の小レポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
15 |
『創造とアナーキー』第五章「宗教としての資本主義」講読―藝術において「放棄」すること―(A-4-4、A-6-3)
【事前学習】テキスト160~173頁までを読み、資本主義社会における藝術の意義についてメモを作成する。 (2時間) 【事後学習】「藝術」、「作品」、「アナーキー」をキーワードとする1500字程度のレポートを作成する。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
その他 | |
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教科書 | ジョルジョ・アガンベン(岡田温司・中村魁訳) 『創造とアナーキー 資本主義宗教の時代における作品』 月曜社 2022年 第1版 |
参考書 | アガンベンの著作であれば、いずれも参考書になり得る。本書につながる彼の初期の美学思想を知りたい人は『中身のない人間』(岡田温司ほか訳、人文書院、2002年)を是非。そのほかの参考書については、授業中に随時指示する。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート:学期末に、テキストの内容に自分の関心を重ね合わせたレポートの執筆を課します。(50%)、授業参画度:議論への参加や質問の提示によって評価します。(50%) |
オフィスアワー | 授業後に設けます。 |