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環論

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令和2年度以降入学者 環論
教員名 遠藤直樹
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 後期 履修区分 選択
授業形態 対面授業
授業概要 本科目の内容は(可換)環論の入門である。
代数系諸分野における基本言語の1つである(可換)環論について, 環の定義や基本的性質から始め, 整数環や体上の多項式環を具体的なモデルに理論を展開し, 有理数体や複素数体を代数的に構成することなどを経て, Eisensteinの既約判定法を目標に進める。
授業のねらい・到達目標 <授業のねらい>
代数学の難しさはその抽象性と議論の厳密さにあるが, それ故に他分野でも欠かせない「道具」にもなり得る。
・代数系の基礎概念の理解を通して, 抽象的な議論を身に付ける。
・環とイデアルの概念を修得することにより, 整数や多項式の持つ性質を証明できるスキルを身に付ける。

<到達目標>
・代数系の基礎概念の学修を通して, 代数系の基本的な定義や性質を説明できる。
・有理数体, 多項式環, 及び複素数体の構成法を説明することができる。
・Eisensteinの既約判定法を用いて, 多項式の既約性の判定ができるようになる。

<ディプロマポリシーとの関係>
この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシー DP3,4,5,8 及びカリキュラムポリシー CP3,4,5,8に対応しています。

<日本大学教育憲章との関係>
・自らが獲得してきた数理科学的知識を基礎とし、その上で既存の知識にとらわれることなく、数理科学的根拠に基づいて論理的に考察することができる(A-3-3)。
・日常生活における現象に潜む数理科学的問題を発見し、専門的知識に基づいて解決案を作成できる(A-4-3)。
・新しい問題に取り組む意識を持ち、そのために必要な情報を収集することができる(A-5-2)。
・自分の学修経験の振り返りを継続的に行うことができる(A-8-1)
授業の形式 講義
授業の方法 ① 講義は基本的に対面で行う。
② レポート課題を計6回出題する。指定された期日までに解いて提出すること。レポート課題は友人と議論して理解を深めた上で提出しても良いが, 自分の言葉で作成すること。他者のレポートの丸写しは, 双方のレポート課題を無効として扱うので注意すること。
③ レポート課題の解答例は, 返却時に配布することでフィードバックするので, 解答の仕方の参考にすること。
④ オフィスアワーでの質問の機会を設ける。また, emailでの質問にも対応する。
⑤ 到達度を確認するために, 対面試験を1回行う。
授業計画
1 ガイダンス,環の定義と例を学ぶ。
【事前学習】シラバスを確認し, 代数学序論1を履修した者はそのノートを読んでおくこと。 (2時間)
【事後学習】第1回レポート課題を通して, 環の定義を理解したかを確かめること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
2 環の準同型写像と部分環の概念を理解する。
【事前学習】第1回講義内容の復習し, 環の定義を良く理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第1回レポート課題を通して, 環の準同型写像の基礎的性質を理解すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
3 イデアルの概念を学修し, 剰余類環の構成を理解する。
【事前学習】第2回の講義内容を復習し, 環の準同型写像を良く理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回レポート課題を通して, イデアルの定義や基本的性質を理解すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
4 写像のwell-defined性に対する理解を深め, イデアルの対応定理と環の準同型定理を学修する。
【事前学習】第3回の講義内容を復習し, 同値関係について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回レポート課題を通して, イデアルの種々の演算を修得すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
5 特別な可換環として, 体と整域を学修する。
【事前学習】第4回の講義内容を復習し, イデアルの対応定理を良く理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第3回レポート課題を通して, 体と整域の具体例を理解する。 (3時間)
【授業形態】対面授業
6 特別なイデアルとして, 極大イデアルと素イデアルを学修する。
【事前学習】第5回の講義内容を復習し, 体と整域の性質を理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】極大イデアルと体, 素イデアルと整域の関係を理解すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
7 整数環の理論を通して, Euclidの補題や最大公約数など, 身近な整数の性質を理解する。
【事前学習】第6回の講義内容とイデアルについて復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第4回レポート課題を通して, 整数環の剰余環の素イデアルの計算方法を習得すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
8 埋め込みの原理とZornの補題を学修する。
【事前学習】第7回の講義内容と極大イデアルについて復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第4回レポート課題を通して, 埋め込みの原理を理解すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
9 環の局所化を学び, 有理数体の構成を理解する。
【事前学習】第8回の講義内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回レポート課題を通して, 積閉集合や環の局所化の具体例を理解する。 (3時間)
【授業形態】対面授業
10 多項式環の構成を通して, 多項式の変数を理解する。
【事前学習】第9回の講義内容について復習し, 有理数体の構成を良く理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】多項式環を構成する各ステップの証明を理解すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
11 多項式の性質を学び, 代入原理を理解する。
【事前学習】第10回の講義内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第6回レポート課題を通して, 多項式環の性質についての理解を深めること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
12 多項式環の基本的性質を学修する。
【事前学習】第11回の講義内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第6回レポート課題を通して, 多項式環の性質についての理解を深めること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
13 複素数体の構成を通して, 虚数単位を理解する。
【事前学習】埋め込みの原理について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】複素数体の構成を復習し, 虚数単位についての理解を深めること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
14 Eisensteinの既約判定法を学修し, 多項式の既約性の判定法を習得する。
【事前学習】第10, 11, 12回の講義内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】Eisensteinの既約判定法を用いて, 多項式の既約性の判定ができるよう練習すること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
15 期末試験とその解説(A-8)
【事前学習】この講義で学修した内容全般を整理し, 理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】環論と初等整数論で学修した内容を比較して, 理解を深めること。 (3時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 使用しない
参考書 後藤 四郎 『可換環論の勘どころ』 共立出版 2017年 第1版
渡辺 敬一・草場 公邦 『代数の世界 改訂版 (すうがくぶっくす) 』 朝倉書店 2012年 第1版
永井 保成 『代数学入門 群・環・体の基礎とガロワ理論』 森北出版 2024年 第1版
成績評価の方法及び基準 レポート(30%)、授業内テスト(70%)
オフィスアワー 講義終了後やお昼休みの時間に質問に対応する。また, emailでの質問も歓迎する。
備考 「初等整数論」を履修していることが望ましい。

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