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関数空間論

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令和2年度以降入学者 関数空間論
教員名 中石健太郎
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 前期 履修区分 選択
授業形態 対面授業(一部遠隔授業)
授業の形態 対面授業(オンデマンド型動画配信を1/15程度含む。)
授業概要 現代の解析学は関数解析を使う。
本来の関数解析はルベーグ積分論を修めた後に学ぶべきもので高度に抽象化され汎用性が高い。一方抽象性ゆえに目標が見定めにくく初学者には学びづらいという側面がある。
この講義では、そう言った抽象的な関数解析への足掛かりとして具体的な対象、つまり2階線形微分方程式の境界値問題:シュトゥルム=リウヴィル問題の解法を巡ってフレドホルムを経てヒルベルトがいかにしてヒルベルト空間を導入するに至ったかを解説する。
歴史的な経緯を踏まえた初等ヒルベルト空間論の導入までを目標とする。
授業のねらい・到達目標 <授業のねらい>
よく知っている線形代数の考え方が2階微分方程式の境界値問題の解法という解析学のトピックに一般化されて
関数解析という分野に整備されていく様を辿ることで数学の一つの発展の仕方を感じ取ることができるようになること。

<到達目標>
・線形代数の考え方が一般化されて解析学にいかに応用されて行くかを感じ取ることができるようになること。
・本格的な関数解析を受講者が容易に学べるようになるための基礎が持てるようになること。

<ディプロマポリシーとの関係>
この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシー DP3,4,5,8及びカリキュラムポリシー CP3,4,5,8 に対応しています。

<日本大学教育憲章との関係>
・自らが獲得してきた数理科学的知識を基礎とし、その上で既存の知識にとらわれることなく、数理科学的根拠に基づいて論理的に考察することができる(A-3-3)。
・日常生活における現象に潜む数理科学的問題を発見し、専門的知識に基づいて解決案を作成できる(A-4-3)。
・新しい問題に取り組む意識を持ち、そのために必要な情報を収集することができる(A-5-2)。
・自分の学修経験の振り返りを継続的に行うことができる(A-8-1)。
授業の形式 講義
授業の方法 一部の講義は Canvas LMS を通じてオンデマンド教材を配信する。受講生はその教材を視聴し、学修する。
対面参加が困難な学生については、教員の許可を受けて、オンデマンド型教材で学修することができる。
フィードバックは個別にメールで返すか、Canvas LMS 上で全員で共有する。

尚、授業計画は受講生の理解度に応じて変更する可能性がある。
授業計画
1 ガイダンス:2階線形微分方程式の境界値問題から関数解析へ
【事前学習】シラバスの概要を確認しておくこと。線形代数で学んだことを整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】講義に出てきた2階線形微分方程式の計算を自分でもやってみること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 固有空間・内積・正規直交基底について学ぶ.
【事前学習】線形代数の基底を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】内積があるベクトル空間の性質を理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 直交分解・随伴作用素について学ぶ.
【事前学習】線形代数の随伴行列を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】抽象的なベクトル空間での作用素という見方に慣れること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 正規作用素について学ぶ.
【事前学習】線形代数の射影行列を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】具体的にどの行列が正規作用素に当たるのか理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 積分方程式・シュトゥルム=リウヴィル問題について学ぶ.
【事前学習】2階線形微分方程式について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】微分方程式の境界値問題が積分方程式になる理由を理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 フレドホルム理論について学ぶ.
【事前学習】非斉次連立線形方程式の解法を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】フレドホルム理論が非斉次線形方程式の無限次元版であることを確認しておくこと。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 2次形式と主軸問題について学ぶ.
【事前学習】線形代数の対称行列エルミート行列を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】主軸問題とは何かを理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 ヒルベルト=シュミット理論について学ぶ (I).
【事前学習】主軸問題を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】展開定理の内容を確認しておくこと。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 ヒルベルト=シュミット理論について学ぶ (II).
【事前学習】線形代数のヒルベルト・シュミットの直交法を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】直交法が無限次元に拡張されていることを確認すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 ヒルベルト空間について学ぶ.
【事前学習】ヒルベルト・シュミット展開定理を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】主軸問題からヒルベルト空間がいかに導入されたか理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 現代のヒルベルト空間論について学ぶ (I).
【事前学習】2次形式を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】エルミート形式が2次形式の一般化になっていることを確認すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 現代のヒルベルト空間論について学ぶ (II).
【事前学習】エルミート形式を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】ヒルベルト空間の公理がこれまでの一般化になっていることを確認すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 ヒルベルト空間の固有値問題について学ぶ.
【事前学習】ヒルベルト空間を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】コンパクト作用素がこれまでの一般化になっていることを理解すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 リース理論について学ぶ.
【事前学習】ヒルベルト=シュミット理論を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】リース理論がヒルベルト=シュミット理論の一般化であることを確認すること。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 一般の関数解析へ:展望
【事前学習】ここまでの講義の全体を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】関数解析のテキストに取り組んでみること。 (2時間)
【授業形態】オンデマンド型授業
その他
教科書 なし
参考書 志賀 浩二 『固有値問題30講  (数学30講シリーズ 10)』 朝倉書店 1991年
関数解析の本でさらに深く学べます。
成績評価の方法及び基準 レポート:講義中に出される問題と別途指定した課題に取り組んで提出(70%)、授業参画度:質問・自己点検シート等で評価(30%)
レポートは議論の正確さと学修内容の理解度を中心に評価する。

※レポート作成にあたり友人同士で相談するのは構わないが、同一の回答は減点対象とする。
丸写しでなく自分で理解した内容を自分自身の言葉で書くこと。
オフィスアワー Canvas LMS・メールを通じて質問を回収し回答を個別に返すか, あるいはCanvas LMS上に掲示して全員で共有する。

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