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古筆研究1

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令和元年度以前入学者 古筆研究1
教員名 久保木秀夫
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 国文学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 blackboard learn をベースとしたオンデマンド授業を基軸とする。基本的に毎回、PDFファイル+音声による講義と、それを踏まえての小課題への取り組み、回収後の解説とチャット形式の質疑応答、補足、という形態で行っていく。必要に応じて課題研究の回を設ける可能性もある。
なお履修者は、初回授業開始時までに必ず、blackboardへの登録を済ませておくこと。
授業概要 「古筆」とは「古人」の「筆蹟」の意で、広くはほぼ室町時代(16世紀末)までに書写された古写本をも含まれる。この授業では、上代・中古・中世文学の中でも、研究史を大きく塗り替え、その後の研究の進展を促した重要な古写本について、具体的に取り上げ、その重要性を学んでいく。その過程で、書誌学(書物の形態に関する学問)・文献学(書物の内容に関する学問)の研究方法や、くずし字の読み方や原文からの古文解釈、本文校訂などについても修得していく。
授業のねらい・到達目標 ・くずし字解読や原文からの古文解釈、本文校訂のスキルを身につける。
・中世までの古典文学研究の根幹に、古写本の研究があることを理解する。
・古写本の研究がこれまでにどれほどの研究成果を導き出し、研究史を塗り替えてきたかを理解する。
・古写本の取り扱い方、調べ方、くずし字の読み方といった基本的なスキルを修得する。
・古写本の個々に関する重要な情報源である奥書(おくがき)・識語(しきご)について学び、基礎的な読解力を修得する。
この科目は、文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。

なお、新カリキュラム(令和2年度以降の入学者)では、この科目は文理学部(学士)のディプロマポリシーDP2,3,4,5,8及びカリキュラムポリシーCP2,3,4,5,8に対応している。
・日本文学・日本語学研究を学びながら、それらと深く関わる世界諸国の歴史や政治,経済,文化,価値観,信条などの現状および相互関係を,自己の世界観をもって説明できる。(A-2-2)
・日本文学・日本語学研究を中心としながら、仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察できる。(A-3-2)
・日本文学・日本語学研究に関わる問題の意味を理解し,助言を受けて複数の解決策を提示し説明できる。(A-4-2)
・日本文学・日本語学研究のスキルを身につけながら、新しい挑戦への計画を立て,準備することができる。(A-5-2)
・日本文学・日本語学研究の専門性を身につけながら、自己の学修に関する経験と考えを振り返り,分析できる。(A-8-2)
授業の方法 ・基本的には講義形式。取り上げる個々の伝本の図版プリント・関連プリントを配布しながら、その研究史上の意義について、履修生と一緒に考えていく。
・毎回、平仮名・片仮名・漢字のくずし字を解読し、原文からの古文解釈、本文校訂できるようになるための訓練を積み重ねていく。
また数人ずつのグループを作成し、さまざまな古写本の特徴や意義の検討・報告などを行っていく場合もある。
授業計画
1 スタートアップ:「古筆」「古写本」に関する概説と授業方法について。学期末レポートについて(オンデマンド授業)
【事前学習】シラバスをよく読み、履修者自身の関心の所在を検討してくること。 (2時間)
【事後学習】配布プリントに基づき学修内容を復習しておくこと。 (2時間)
2 講義・実習:くずし字の成り立ちと解読方法について学ぶ(オンデマンド授業)
 土佐日記を事例として書誌学・文献学の基礎を学ぶ。
【事前学習】くずし字・土佐日記に関して予備知識を仕入れておくこと。 (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、土佐日記と書誌学・文献学に関する理解を深めること。 (2時間)
3 講義・実習:くずし字を解読しながら、土佐日記を事例として「作者自筆本」を復元に関する成功例を学ぶ(オンデマンド授業)
【事前学習】配布プリントや参考文献に基づきながら前回までの内容を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】授業内容を復習し、「作者自筆本」の復元の意義に関する理解を深めること。 (2時間)
4 講義・実習:くずし字を解読しながら、土佐日記以外の作品を事例として、文献学の限界と今後の可能性について学ぶ(オンデマンド授業)
【事前学習】配布プリントや参考文献に基づきながら前回までの内容を復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】文献学の可能性を自分なりに考えてみること。 (2時間)
5 講義・実習:くずし字を解読しながら、古事記の古写本について 真福寺本・兼永本ほかについて解説し、次回からのグループワークへと導いていく(オンデマンド授業)
【事前学習】古事記とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】古事記の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
6 講義・グループワーク:原文を解釈しながら、万葉集の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】万葉集とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】万葉集とそのの本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
7 講義・グループワーク:原文を解釈しながら、勅撰集の古写本について学び、グループ内・グループ同士でて議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】勅撰集とその古写本につい予習してくること。 (2時間)
【事後学習】勅撰集の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
8 講義・グループワーク:原文を解釈しながら、私家集の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】私家集とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
9 講義・グループワーク:本文校訂しながら、伊勢物語の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】伊勢物語とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
10 講義・グループワーク:本文校訂しながら、源氏物語の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】源氏物語とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
11 講義・グループワーク:本文校訂しながら、枕草子の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】枕草子とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
12 講義・グループワーク:本文校訂しながら、更級日記の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】更級日記とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
13 講義・グループワーク:本文校訂しながら、百人一首の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】百人一首とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
14 講義・グループワーク:本文校訂しながら、平家物語の古写本について学び、グループ内・グループ同士で議論・意見交換を行う(オンデマンド授業)
【事前学習】平家物語とその古写本について予習してくること。 (2時間)
【事後学習】取り上げた古写本の本文・奥書・識語について、確認し直すこと。 (2時間)
15 総括:古典文学に関する古写本の重要性を再確認し、総括し、受講者それぞれの今後の研究に繋げていけるようにする(オンデマンド授業)
【事前学習】これまでの授業全体を振り返り、修得した知識やスキルを再確認する。 (2時間)
【事後学習】学期末レポートに取り組む。 (2時間)
その他
教科書 笠間影印叢刊刊行会 『字典かな―出典明記』 笠間書院 1972年
教科書のうち『字典かな』は、同種の字典類をすでに所持している場合は、そちらを用いて構わない(新たに購入する必要はない)。
ほか、PDF形式のプリントを適宜配布する。
参考書 国文学研究資料館 『古典籍研究ガイダンス 王朝文学をよむために』 笠間書院 2012年
その他、適宜授業中に紹介する。
成績評価の方法及び基準 レポート:レポート用の古写本リストの中から任意の1点を選び、関連資料を可能な限り収集・調査し、その資料的価値を論じる。(40%)、授業内テスト:授業期間内に3回ほど、これまでの習熟度や、知識・スキルの定着度を確認する小テストを行う予定。(30%)、授業参画度:毎回の小課題への取り組みと結果、質疑応答などへの参画度・積極性から総合的に判断。(30%)
オフィスアワー 随時メールで受け付ける。必要に応じてオンライン面談をも行う。ただし対応までに時間を要することもある。
備考 配布するPDF形式のプリントは、事前にblackboardに載せておく。環境的に可能であれば、毎回授業開始前に確認・印刷し、授業時間中に書き込みなどができるよう、準備しておくのが望ましい。

後期の「古筆研究2」を履修するのが望ましい(必須ではない)。

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