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卒業論文研究ゼミ2

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令和元年度以前入学者 卒業論文研究ゼミ2
教員名 高橋利明
単位数    1 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 英文学科
学期 後期 履修区分 必修
授業の形態 主として課題研究(Blackboard を通じた学習資料配信)

Blackboard ID: 木曜3限→20201794
授業概要 世界文学の最高峰とも評価されるメルヴィルの『白鯨』という作品の舞台が「海」であることは大変重要である。作家は生命の起源である「海」にユートピアを求めていたのであり、白鯨追求を通して「海」という自然そのものを描くことによって、身体的なユートピアを探究したのである。『白鯨』という作品の本質的かつ普遍的な意味を考察する。
授業のねらい・到達目標 学生はこの授業における『白鯨』というテクストの精読を通して、まず全般的な英語の語彙力を増強でき、と同時に読解力を深化させることができる。また、テクストの様々な情報を的確に捉え、文脈上何が重要であるのかを識別する能力を獲得することができ、その内容を自分の言葉で発表し、他者との議論の中で認識をさらに深めることができる。
善悪の認識、データバンクとしての芸術言語、社会と個人をめぐる文学的問題の本質的な普遍性について基本的な説明を与えることができる。
(A-1-2, A-3-2, A-4-2, A-5-2, A-6-3, A-7-3, A-8-2)

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1 、DP3、DP4、DP5、DP6、DP7、DP8、及び、カリキュラムポリシーCP1、CP3、CP4、CP5、CP6、CP7、CP8、に対応している。
授業の方法 各回、割り当ての部分を担当する1名の学生が、ハンドアウト(A4版)を用意し、それをもとに発表していく。学生は、ハンドアウトに簡単なあらすじと自分が重要と考える引用原文をあげ、その問題点の分析を発表していく。その後、発表者の解釈をめぐって、クラス内で議論を展開していく。演習方式。
授業計画
1 『白鯨との闘い』ビデオ鑑賞
【事前学習】翻訳の読書を継続すること。 (1時間)
【事後学習】映画と作品とは異なる面が多いが、映像作品としてひとまず理解し、興味を持続させること。 (1時間)
2 Ch. 108 Ahab and the Carpenter/Ch. 109 Ahab and Starbuck in the Cabin
【事前学習】エイハブと大工の会話が、演劇的空間で行われることの意味を理解する。 (1時間)
【事後学習】船倉からの油漏れについて、スターバックとエイハブの対峙場面が描かれるが、最終的にエイハブが折れた理由を考察する。 (1時間)
3 Ch.110 Queequeg in his Coffin"
【事前学習】熱病に罹ったクィークェグは、大工に棺桶を作ってもらうが、すぐに回復する。この自然人の回復力の意味を考察する。 (1時間)
【事後学習】クィークェグの原始的な生命観について整理し、まとめること。 (1時間)
4 Ch.111 “The Pacific” / Ch.112 “The Blacksmith”
【事前学習】神秘的かつ神聖なる太平洋の潮騒の底に「魂」を見出している語り手の自然観に注目し、理解すること。 (1時間)
【事後学習】地球すべてを取り囲むような太平洋の魂の律動に反応する語り手についてさらに理解を深めること。 (1時間)
5 Ch.113 “The Forge” / Ch.114 “The Gilder”
【事前学習】鍛冶屋のパースの悲劇的人生を共感的に理解すること。 (1時間)
【事後学習】白鯨用の銛に異教徒3名の血で焼き入れをしたエイハブの悪魔的執念をどう捉えるかを考察する。 (1時間)
6 Ch.115 “The Pequod meets the Bachelor”/ Ch.116 "The Dying Whale"/ Ch. 117 "The Whale Watch"
【事前学習】ピークォッド号が、同じ母港を持つバチェラー号が帰港に向かう時に出会い、その後4頭の鯨を捕獲するシーンを読み取ること。 (1時間)
【事後学習】死にゆく抹香鯨が頭を太陽の方に向けて息絶える不思議な光景についての神秘性を認識すること。 (1時間)
7 Ch.118 “The Quadrant”
【事前学習】エイハブがなぜ四分儀を踏みつけることになったのかを理解すること。 (1時間)
【事後学習】航海術についての理解を復習すること。 (1時間)
8 Ch.119 “The Candles”
【事前学習】台風に遭遇したピークォッド号は、稲妻にあたる中でマストはセント・エルモの火に包まれるが、これが何を意味するものかを考察すること。 (1時間)
【事後学習】自然の驚異に吉凶を見ることが、作品にどういう意味をもたらすのかを理解すること。 (1時間)
9 Ch.120 “The Deck towards the End of the First Night Watch”/ Ch. 121 "Midnight---The Forecastle Bulwarks"/ Ch. 122 "Midnight Aloft---Thunder and Lightning"/ Ch. 123 "The Musket"
【事前学習】引き続き台風の場面で、エイハブは無理な航行を乗り組みに強いている様子を読み取ること。 (1時間)
【事後学習】マスケット銃の章には、スターバックのエイハブに対する殺意の表れがあるが、どう解釈すべきか考えること。 (1時間)
10 Ch.124 “The Needle” / Ch. 125 "The Log and Line"
【事前学習】航行のための器具が不能になる中、エイハブは自力で船を導こうとするが、それぞれの器具の特性を理解すること。 (1時間)
【事後学習】肉体は魂の容器である、というような哲学的解釈が見られる章であるが、エイハブの魂について吟味すること。 (1時間)
11 Ch.126 “The Life-Buoy” / Ch. 127 "The Deck"
【事前学習】救命ブイを作る必要性が生じた時に、クィークェグ用に作ってあった棺桶に目がつけられた。その経緯を精読し理解すること。 (1時間)
【事後学習】棺桶の救命ブイという生と死を象徴するアイロニーについて哲学的に考察すること。 (1時間)
12 Ch.128 “The Pequod meets the Rachel” / Ch.129 “The Cabin”
【事前学習】レイチェル号のガーディナ船長は、白鯨との闘いで行方不明になった息子を探していた。そこで出会ったエイハブに応援を頼むが拒絶される。エイハブの狂気について考えたい。 (1時間)
【事後学習】エイハブの狂気の度合いが、微妙に描き分けられているところを読み取ること。 (1時間)
13 Ch.130 “The Hat” / Ch. 131 "The Pequod meets the Delight"
【事前学習】エイハブの鉄の魂を描きながら、トウゾクカモメに奪われる彼の帽子に象徴される悲劇の結末を読み取ること。 (1時間)
【事後学習】拝火教フェダラーと「影」をメタファーにしてリンクするエイハブの存在を再確認すること。 (1時間)
14 Ch.132 “The Symphony”
【事前学習】「交響楽」には、エイハブの魂の自然との交響と音楽の発見がある。交響楽の形式を当てはめながら精読すること。 (1時間)
【事後学習】太平洋に一滴だけ流すエイハブの涙には万感の思いが込められている。どのような思いなのか深く吟味すること。 (1時間)
15 まとめの解説とエッセイ(小論文)の提出。
『白鯨』が世界文学の傑作の一つであることの理由を各人が発表し、それについて全員で議論する。
【事前学習】エッセイの作成と発表の準備を行うこと。 (1時間)
【事後学習】他者の意見と自分の意見をすり合わせ、作品全体の今日的な普遍的価値を認識すること。 (1時間)
その他
教科書 Moby-Dick, Library of America Paperback Classics
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:エッセイ(小論文)(50%)、授業参画度:授業での発表内容とその後の議論など(20%)、毎回の授業後に提出する授業内容についての感想や意見など(30%)
オフィスアワー 授業終了後に高橋研究室にて。

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