文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 史学科 > 日本史特講1
日本大学ロゴ

日本史特講1

このページを印刷する

令和2年度以降入学者 日本史特講1
教員名 神田裕理
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業
授業概要 中世から近世にかけての政治社会動向について、天皇と武家の関係を切り口に、ジェンダーの視点もふまえながら考察する。
授業のねらい・到達目標 中世から近世初期にかけて、とりわけ戦国時代の天皇の姿は見えにくい。高等学校で用いる日本史の教科書でも、彼らに関する記載にはさほどページを費やしていないだろう。一般に、「戦国時代の天皇」というと、「お飾り」「弱体化した存在」「伝統的権威を振りかざす守旧派」「武家のあやつり人形」など、ネガティブなイメージで語られることが多い。だが、このようなイメージに基づく理解のままでは、当時の天皇や朝廷の存在意義や役割を見出すことはできない。
本講義では、まず、武家との関係から天皇や公家のあり方を見ることに加え、天皇や公家の側から視点をあてる。当時の社会状況の中で天皇や公家が必要とされた局面・条件をふまえたうえで、そこでの天皇・公家の、もろもろの行為から、彼ら(とくに天皇)の実際に果たしえた役割・権限を具体的に追求する。そのうえで、天皇・公家が果たしていた役割は、武家の現実的な政治支配とどのように関わったかについて、その影響面・効果も含めて考える。
 中~近世初期における天皇や朝廷の実像の解明から、これまでなされてきた「お飾り」や「伝統的権威」といった見方をくつがえすこと、戦国時代の「日本国」における天皇や朝廷の位置も改めて示すことを目標とする。
 さらに、ジェンダーの視点も積極的にとり入れる。近年、安定的な皇位継承をめぐる議論がなされる中、女性皇族のあり方も模索されている。中~近世初期の朝廷(天皇家・公家社会)に生きた女性たちのありようを検討する中で、かかる現皇室の抱える問題を考える「きっかけ」を見出すことも目標とする。
 この科目は文理学部(学士(文学))のDP2、3及びCP2、3に対応しています。
世界諸国の歴史、経済、文化などの背景を理解し、国際社会が直面している問題を人文学の視点から説明することができる。(A-2-3)
物事を既存の知識やイメージにとらわれることなく、人文学的根拠に基づいて論理的・批判的に考察し、説明することができる。(A-3-3)
授業の形式 講義
授業の方法 【講義】
 プリントと板書による説明を通じて、各回のテーマについて、自分なりの理解を構築する。各回の最後に、各自、講義に関するリアクションペーパーを提出し、理解のアウトプットをおこなう。
 また、レポートとして書評の提出を義務づける。これは、専門書を客観的に読む技術や、論理的な文章を書く技術を習得し、卒論執筆に備えるためである。
 試験(論述式試験)については、後日に全体講評をおこなう。
履修条件  講義中は、私語厳禁。同じく、スマートフォン・ノートパソコン(タブレットも含む)・イヤホンの使用を、絶対禁止とする。スマートフォン等は、電源を切ったうえで、必ずカバンにしまうこと。
 
 講義中、わからない事柄(人名・地名・歴史用語等)が出た場合は、必ずメモを取ったうえで、授業終了後に自身で辞書を引いて調べること。講義を通じて、「辞書を引いて調べる」習慣を身につけること(講義中のスマートフォン使用は絶対禁止)。

 なお、事情により、ノートパソコン(タブレットも含む)を用いてノート筆記を行いたい学生は、その理由も含めて事前に教員(神田裕理)に申し出たうえで、必ず使用許可を得ること。事前に使用許可を得ていない場合は、使用を認めません。

 提出物(レポート・メール等)には、必ず「学科・学年・学籍番号・フルネーム」の4点を、明記すること(成績評価の対象になります)。

 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等に罹患して出席停止の扱いとなった場合は、出席停止の解除直後の授業時に限って指定書式による届出書等を提出すること。この場合、教員の指定する代替課題の提出があれば、それをもって出席と見なす(決められた期日までに課題提出がなければ、欠席扱いとなる)。
 
 上記と同様に、体育会所属の学生が公式試合等で欠席する場合も、指定書式による届出書等を提出すること。この場合、教員の指定する代替課題の提出があれば、それをもって出席とみなす(決められた期日までに課題提出がなければ、欠席扱いとなる)。
授業計画
1 ガイダンス(中~近世の天皇・朝廷に関する基本事項や、授業の目標・方法について説明する)【対面】
 プリントと板書の内容を理解し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】シラバスを事前に確認する (2時間)
【事後学習】第2回以降の授業に備え、予習プリントをもとに中~近世の天皇や朝廷に関するイメージや基礎知識を整理する。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
2 (総論1)女性史・ジェンダーとは何か(女性史・ジェンダー史研究の軌跡と成果について考える)【対面】
プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『日本女性史大辞典』・『国史大辞典』などを用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、歴史学研究のなかで女性史・ジェンダー史研究はどのような影響をもたらしたか説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
3 (総論2)室町時代初期の朝廷と足利将軍家(足利義満・義持と天皇の関係を考える。将軍家御台所と朝廷との関係も考える)【対面】
 プリントと板書の内容を理解し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、義満と天皇の関係、義持と天皇の関係について、それぞれの特徴および両者の差異を説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
4 (総論3)室町時代中期の朝廷と足利将軍家(足利義教と天皇との関係を考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、義教と天皇の関係について、特徴を説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
5 (総論4)室町末期~戦国期の朝廷(二つの将軍家の存在を確認し、天皇との関係を考える。また、将軍家と戦国大名の関係や、将軍家御台所の活動状況についても考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、戦国大名と天皇の関係について、特徴を説明できるようにする。また、この時期の将軍家御台所のありようを説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
6 (総論5)戦国~織田期の朝廷(最後の将軍義昭と天皇、織田信長と天皇との関係を考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、義昭と天皇の関係、信長と天皇の関係について、それぞれの特徴および両者の差異を説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
7 (総論6)豊臣期の朝廷(武家関白豊臣氏と天皇の関係を考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、秀吉と天皇の関係、秀次と天皇の関係について、それぞれの特徴を説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
8 (総論7)徳川初期の朝廷(徳川将軍家の草創と、当時の朝廷について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、家康と天皇の関係について、豊臣氏と天皇の関係と比較しながら、その特徴を説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
9 (各論1)天皇という「人生」(天皇の誕生から死までを考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、中世~近世初期の天皇はどのような人生をたどったか、説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
10 (各論2)朝廷を支えた人々①(後宮女房たちの活動について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、天皇に仕える後宮女房たちのさまざまな活動について、説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
11 (各論3)朝廷を支えた人々②(皇子・皇女たちの人生について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、中世から近世初期の皇子や皇女たちはどのような人生をたどったか、説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
12 (各論4)朝廷を支えた人々③(戦国時代の公家と公家社会について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、戦国時代の公家と公家女性たちの生きざまについて説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
13 (各論5)朝廷を支えた人々④(武家伝奏について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、武家伝奏の役割および各時代の武家伝奏の特徴について説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
14 (各論6)朝廷を支えた人々⑤(家司について考える)【対面】
 プリントと板書の内容を整理し、疑問点は質問や協同学習で解決する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】『国史大辞典』を用い、予習プリントで示したキーワードの要点をメモする。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をノートにまとめ、家司の役割や、時代・家によって異なる家司のありようについて説明できるようにする。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
15 試験と解説【対面】
 中~近世初期の朝廷と公家社会、公武関係、および女性史・ジェンダー史に関する議論を復習して臨むこと。論述式試験。ノート等の持ち込みは不可。
出題された課題について、解答を提出する。(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】まとめたノートを再読して、各時期の朝廷や公家社会、および公武関係のスタンスに関する実像を整理する。第2回から第14回までの内容を復習する。 (2時間)
【事後学習】解説をふまえて、自己の解答を再検討する。 (2時間)
【担当教員】神田裕理
【授業形態】対面授業
その他
教科書 各回に講義用プリントを配布する。教科書はとくに指定しないが、参考書及び講義用プリントで示した主要参考文献は、読んでおくことが望ましい。
参考書 神田裕理 『朝廷の戦国時代 武家と公家の駆け引き』 吉川弘文館 2019年 第2版
神田裕理 『宮廷女性の戦国史』 山川出版社 2022年 第1版
神田裕理 『戦国・織豊期朝廷の政務運営と公武関係 (日本史史料研究会研究叢書)』 日本史史料研究会企画部 2015年 第1版
このほか、講義用プリントに、主要参考文献を掲示する。
成績評価の方法及び基準 試験(70%)、レポート:講義用プリントで示した主要参考文献の書評によって評価し、成績評価に反映させる。提出期限や書式は、厳守のこと。(20%)、授業参画度:講義終盤のリアクションペーパーで評価し、提出状況及び内容によって成績評価に反映させる。(10%)
試験は、第15回に行う。形式は、論述式とする。ノート等の持ち込みは不可。
レポート(書評レポート)の提出状況及び内容は、成績評価の対象となります。
リアクションペーパーは、毎回の授業終了後に必ず提出すること。欠席者は、翌週の授業時までにメールで必ず提出すること。リアクションペーパーの提出状況及び内容も、成績評価の対象となります。
5回、リアクションペーパーを提出しなかった学生には、単位を認定いたしません。
オフィスアワー 授業終了後に受け付けます。

このページのトップ