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東洋史特講2

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令和2年度以降入学者 東洋史特講2
教員名 柳谷あゆみ
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 講義形式で行います。
授業概要 イスラームの成立からアッバース朝期(750-1258年)までの中東イスラーム世界の歴史を学びます。
イラクを中心に広域支配体制を実現したアッバース朝の治世は、中東イスラーム世界の社会・行政システムの基礎が築かれた時代ということができます。アッバース朝期に形成された理論の中には、カリフ論やジハード(聖戦)論のように、近代以降も植民地主義への抵抗として提唱され、今日的な問題を読み解くうえで不可欠であるものも少なくありません。
本講義では、中世イスラーム社会の基本的な構造・知識を理解し、後代、特に現代社会とのつながりと断絶、また周辺世界との交流についても意識が及ぶように進めていきたいと思います。
授業のねらい・到達目標 1.「カリフ制」「イクター制」などの用語・内容を理解・把握したうえで、中世中東イスラーム世界における社会システムの基礎的な内容を理解する。
2.この時期に築かれた理論・システムと、現代のイスラーム世界における出来事との関連・影響についても考えることができる。
3.現代日本とは異なる世界・社会・時代の状況を知り、その共通点・相違点を探ることで、自らの知見を拡大することができる。

この科目は文理学部(学士(文学))のDP2,3及びCP2,3に対応しています。
・世界諸国の歴史,経済,文化,政治などの背景を理解し,国際社会が直面している問題を人文学の視点から説明することができる(A-2-3)。
・物事を既存の知識にとらわれることなく,人文学的根拠にもとづいて論理的・批判的に考察し,説明することができる(A-3-3)。
授業の形式 講義
授業の方法 対面・講義形式で行います(初回講義のみ、講師が国外出張中のため、オンデマンド授業とします。あとはすべて対面の講義です)。毎回配布の出席票にスペースを取りますので、コメントや質問を記入してもらえると助かります。出席を前提としていますので出席点はありません。最低でも6割以上出席しないと試験への対応が難しくなると思います。コメント・授業時に提示した課題については授業時間内に回答・説明します。
※教室内でのスマートフォンの使用は控えてください。

新型コロナウイルス感染・濃厚接触者になったという理由で「出校停止」となった場合は、基本的には授業資料の配布によって対応します(後日、出校停止となった理由書・証明書を提示してください)。
授業計画
1 イントロダクション:イスラーム共同体の創設
【事前学習】シラバスの概容を確認する。中東イスラーム世界の地理的範囲を大まかに確認しておく。 (2時間)
【事後学習】預言者ムハンマドが登場した時代・地理的背景ととイスラーム共同体の構造を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】オンデマンド型授業
2 正統カリフ時代からウマイヤ朝期まで
【事前学習】預言者ムハンマドが作り上げたイスラーム共同体の特徴と教友の存在を確認しておく (2時間)
【事後学習】正統カリフ時代からウマイヤ朝期にかけての地理的拡大とイスラーム共同体の成員の変化を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
3 宗派の成立
【事前学習】正統カリフ時代からウマイヤ朝までの歴史的推移を確認する (2時間)
【事後学習】スンナ派、シーア派、ハワーリジュの差異と、シーア派の分派構造を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
4 アッバース朝の成立と発展
【事前学習】アッバース朝成立時のイスラーム世界の範囲を確認する (2時間)
【事後学習】アッバース朝革命の内容と推移、首都バグダードの特徴を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
5 アッバース朝の繁栄
【事前学習】アッバース朝の中心であるイラクの地理的な特徴について考察する (2時間)
【事後学習】バグダードを中心とした政治的・経済的ネットワークと、その繁栄を支えた農業・交易の内容・成果を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
6 アッバース朝社会の成熟
【事前学習】イスラームの生活規範(六信五行)などを予習しておく (2時間)
【事後学習】イスラーム諸学(特に法学)の成立と、担い手であるウラマー層の社会的定着及びイスラーム法に基づく社会規範の成立を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
7 アッバース朝カリフの実効支配力低下
【事前学習】シーア派、ザンジュなど第三回・第五回講義の内容を確認しておく (2時間)
【事後学習】イスラーム世界の奴隷の性質と奴隷軍人の大量導入がもたらした影響を確認する。カリフの実効支配力が低下した要因を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
8 武人の時代:シーア派の世紀からスンナ派振興へ
【事前学習】非アラブの武人政権であるブワイフ朝について予習しておく。軍事奴隷の役割を確認する (2時間)
【事後学習】武人政権の特色を理解し、シーア派が台頭した10世紀から、スンナ派の振興が始まった11世紀までの流れを理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
9 フランク(十字軍)の侵攻
【事前学習】セルジューク朝成立前後のトルクマーン諸部族の西進について予習する。十字軍遠征について概容を理解する (2時間)
【事後学習】フランク(十字軍)の侵攻当時のアナトリア~シリア・パレスティナ地域の政治的状況を理解し、対フランク・リアクションの内容を確認する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
10 ザンギー朝ザンギー一世の勢力拡大と挫折
【事前学習】ザンギー一世とバグダードのセルジューク朝、アッバース朝との関係を整理する (2時間)
【事後学習】ザンギー一世のバグダード進出、シリア進出の過程と結果を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
11 ザンギー朝ヌール・アッディーンの広域支配体制成立
【事前学習】ザンギー一世の挫折の要因を確認する (2時間)
【事後学習】ザンギー朝ヌール・アッディーンの政策を(1)対フランク(2)対ザンギー一族の二点から整理する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
12 アイユーブ朝成立とファーティマ朝廃絶
【事前学習】アイユーブ朝を興したサラーフ・アッディーンのエジプト遠征とエジプトの実権掌握について復習する (2時間)
【事後学習】シーア派のカリフ一族の廃絶の過程を踏まえて、廃絶の目的と意義を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
13 アッバース朝カリフの復権
【事前学習】10世紀以降のアッバース朝カリフの役割について考察する (2時間)
【事後学習】12世紀からのアッバース朝カリフの復権の試みと成果を理解する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
14 モンゴルの侵攻・バグダードのアッバース朝滅亡
【事前学習】13世紀前半のイラクを中心とした中東地域の勢力図を概観しておく (2時間)
【事後学習】マムルーク朝の成立と、モンゴル侵攻の経過を理解し、アッバース朝カリフの役割について考察する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
15 総括(理解度の確認)
【事前学習】イスラーム共同体の成立からアッバース朝の滅亡まで過程を復習する (2時間)
【事後学習】7-13世紀の中東イスラーム世界の歴史について、制度や進行の概要をまとめ、表現する (2時間)
【担当教員】柳谷あゆみ
【授業形態】対面授業
その他
教科書 使用しない
参考書 佐藤次高 『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』 中公文庫 2008年
佐藤次高 『イスラームの国家と王権 (世界歴史選書)』 岩波書店 2004年
本講義の概容を理解し、さらに知見を深めていくのに役立つ書籍を2点挙げました。興味があるところから拾い読みをしてもよくわかると思います。
成績評価の方法及び基準 試験(90%)、授業参画度(10%)
期末に筆記試験を実施します。紙媒体のみ持ち込みを許可します(試験は範囲が広くとにかく問題数が多いので、予習&理解なしでは時間内に解ききれないと思います。受講は慎重に!)。
オフィスアワー 講義の前後に質問等を伺います。出席票のコメントを活用してくれると助かります。
備考 出席回数が全体の6割を切った受講者は期末試験の採点対象としません。
また、30分以上の遅刻については、出席とカウントしません。(※電車の遅延等の理由がある場合は、あとで事情を伺いますので、申し出てください)
※本人以外が出席票を提出した場合、残念ですが、代わりに提出した人も含め厳しく対処せざるを得ません。気を付けてください。
授業内容は7-13世紀のイスラーム世界史ですが、シラバスの内容から多少変動する場合があります。

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