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民俗文化論

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令和2年度以降入学者 民俗文化論
教員名 斎藤弘美
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 社会学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業
授業概要 本講義で扱う民俗文化論は日本人の無意識の意識を明らかにする「民俗学」をベースにしています。民俗学は本来、過去の残存物を扱う学問ではなく、現在直面する課題を解決するための糸口を探ることを目的として成立した学問です。本講義はそのことを念頭に置いて、現代の日本社会がかかえる課題に対して民俗学の視点からアプローチしていきます。
近年、日本社会が直面する主要なテーマとして特に注目されている「多文化共生」と「多様性」への意識。異文化に対して不寛容といわれる日本社会の基層にあるのはどのようなものか、自分自身の「無意識の意識に気付く」ことで、問題解決に近づいていきます。外国人のみならず、「日本人」の中に存在する異文化について理解するため、特に本年11月に東京で開催されるデフリンピックを通して、「障がい者」という異文化についても本講義の主要テーマとします。
授業ではより興味深く、正しく理解することができるよう時事問題や講師の専門とする民俗調査のほか、障がい者や在日外国人との交流経験を生かした事例を紹介するとともに、DVDなどを活用することで、より深く理解できるよう講義を進めていきます。
授業のねらい・到達目標 <授業のねらい>
グローバル化する現代社会において均質的、異文化に対する不寛容が問題視されている日本社会ですが、歴史を振り返れば、そもそも日本文化は度重なる異文化需要と、その影響による文化変容の結果、形成されてきたものであることは明らかな事実です。
また異文化というとすぐに外国文化を考えがちですが、実は私たちのまわりには障がいや世代、性別など様々な異文化が存在しています。そうした身の回りの異文化の存在に気付き、理解し、共生への道を探っていくことが重要です。
無意識の意識にすり込まれた均質的、不寛容という幻想から自由になるために、授業を通して本来日本文化が有していた多様性と異文化受容と文化変容についてを学んでいきます。
<到達目標>
・マスク着用などコロナ禍によって顕在化した日本的生活様式の本質を理解することにより、現代の生活に生かしていくことができる。
・日本文化は本来、さまざまな異文化の影響を受けたきわめて柔軟性のある文化であることを学び、自らそうした例を身近に発見することにより、日本文化についての正しい理解ができるようになる。
・均質的という幻想から解き放たれ、多様性のある日本文化へのまなざしを獲得できるようになる。
・民俗が過去のものでなく、現在は過去の「総体」であることを学ぶことにより、今後の考え方やものの見方に役立てることができる。
<ディプロマシーとの関係>
この科目は、文理学部(学士(社会学))のDP1,2,3,4及びCP1,2,3に対応しています。
<日本大学教育憲章との関係>
・学修から得られた幅広く豊かな知識と教養、および自己の倫理観に基づき、果たすべき社会的責任を実現するための方法を適切に選択できる。(A-1-4)
・日常生活から国際社会に至る現代社会の多層性と多様性を理解し、グローバル化する現代社会が抱える矛盾について,社会学における専門領域の観点から説明することができる。(A-2-3 )
・具体的な社会現象や社会問題を入り口に,「あたりまえ」の理解からは読み取れない現代社会の多層性と多様性を,収集したデータに基づき論理的・批判的に理解し,その本質を他者に説明することができる。(A-3-4 )
・多様なメディアによって形作られる現代社会におけるわたしたちの日常生活の中の諸課題について,社会学の専門領域の観点から説明し,その解決案を提示することができる。(A-4-3 )
授業の形式 講義
授業の方法 ①授業はすべて対面で行い、より深い理解を促すために必要に応じてDVD視聴や関連資料の配付、参考文献の紹介などを行う。
②講義終了後は自ら「気付いたこと」「考えたこと」「疑問に思ったこと」などを毎回、リアクションペーパーに記入し提出する。このコメントにより授業参画度の評価を行う。
③毎回、授業の始めに、前回提出されたリアクションコメントを紹介し、疑問に答えることで、双方向性を持った授業とする。これにより自分とは異なる視点に気付き、問題意識を共有することができる。
④板書は重要項目のみ記載するため、ノートの取り方を工夫するとともに、授業後は必ずノート整理をして復習すること。
⑤自ら「気付き」「調べ」「考え」「記述する」ことが重要なので、授業を通して関心を持ったテーマについて資料を調べ、期末レポートとして、自らの考えをまとめる。提出されたレポートにより、授業内容への理解、自ら調べ、考える力が付いたかを評価する。
⑥課題の提出方法やフィードバックの方法は、初回授業で説明する。
履修条件 原則として初回授業に出席することを履修条件とします。また履修定員は概ね80名程度とし、第1回授業の受講希望者がこれを大幅に超えた場合は、初回授業のリアクションコメントにより選考を行います。
原則として対面授業に出席できることを履修条件とします。
授業計画
1 イントロダクション:「当たり前を疑う」ことから始めよう。コロナと日本的生活様式について考えながら、民俗学という学問に出会う。民俗学と民族学、2つのミンゾクガクの違いについて知り、人種・民族・国民という概念について学ぶ。
【事前学習】シラバスを事前に確認し、授業全体の流れを理解しておく (1時間)
【事後学習】次回以降の授業に備え、自らのノートを整理するとともに民俗学についての理解を深めておく (2時間)
【授業形態】対面授業
2 コロナと日本的生活様式:日本人はなぜマスクに抵抗感がなかったのか。ケガレというキーワードで民俗学の視点から読み解く。さらに日本家屋に象徴される日本社会のウチとソトに対する考え方が、コロナとの関係においてどのような影響を及ぼしたかを検証する。
【事前学習】日本的といわれたコロナ対策について、自分なりに再検討してみる (2時間)
【事後学習】ある事象が現れるときにはその背景となる民俗文化が存在することを理解し、コロナと日本文化の関連をうかがわせる他の事例も考えてみる (2時間)
【授業形態】対面授業
3 ヒトと鬼とカミの民俗文化論:異文化理解の基礎となる日本文化における「鬼」について学ぶ。「ガイジン」という言葉に注目し、また「鬼」とはなにかを知ることにより、日本人が異文化をどのように理解し受容してきたかを知る。さらに、ヒトではない存在として、鬼と同義である日本の「カミ」は日本文化のウチとソトの概念を生み出し、一種の異文化理解を形成している。日本人にとってのカミと鬼とマツリの関係をひもとき、さらには宗教を超えた日本的マツリとなったハロウィンやクリスマスから異文化受容を理解する。
【事前学習】授業で示した事例以外のファクターXについても考えてみる (2時間)
【事後学習】日本における「鬼」「カミ」の存在をあらためて自分の体験に近づけて考え理解する (2時間)
【授業形態】対面授業
4 日本社会の多様性:アスリートから知る「日本人」という幻想。オリンピックやワールドカップに見る近代国家とその歴史。国という枠組みが絶対的な存在ではないことを学ぶ。
さらに日本社会における在留外国人の存在を異文化理解という観点から考える。
【事前学習】日本における在留外国人について事前学習しておく (2時間)
【事後学習】「国家」「国民」「民族」「人権」などの用語を正しく理解するよう復習する (2時間)
【授業形態】対面授業
5 日本の中の異文化①:知里幸恵の「アイヌ神謡集」をテキストにアイヌ文化を理解するとともに、消滅したと誤解されているアイヌ民族に関して、正しい知識と日本社会における差別と交流の歴史を学ぶ。
【事前学習】アイヌ民族に関して関連する本や資料などを読んでおく (2時間)
【事後学習】アイヌ文化の特質への理解を深め、そこから新たな思考方法を獲得する (2時間)
【授業形態】対面授業
6 日本の中の異文化②:沖縄はなぜ観光地として魅力的なのか。異文化としての沖縄・琉球について、その文化と歴史を学び、ヤマトと琉球の交流の歴史から日本文化との関係を知る。沖縄文化が中国、日本、アメリカとの交流によって形成されたことを学び、異文化との出会いが、自分たちの文化を豊かにすることを認識する。
【事前学習】沖縄の歴史に関する基礎知識を得ておく (2時間)
【事後学習】異文化交流が新たな文化を生み出すきっかけになることを理解し、他にも同様の事例がないか考えてみる (2時間)
【授業形態】対面授業
7 日本の中の異文化③:日常的に接しているにもかかわらず、共に生きる異文化として意識せずにいる在留外国人の存在に焦点を当てる。日本政府が受入を拒否する移民・難民のほか、多くの日本人が向き合ってこなかった在日朝鮮・韓国人等について正しい知識を得るとともに、彼らの文化についても理解する。それにより、自らの「無意識の意識」に気付き、考える。
【事前学習】移民や難民、在日という用語についての知識を得ておく (2時間)
【事後学習】自分の身の周りに存在する異なる文化の人々について、あらためて意識してみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 障がいという異文化①:11月に開催されるデフリンピックを機に、その存在が気付きにくい聴覚障がい者と手話言語について学ぶ。手話は日本語とは異なる独立した言語であること、言語は文化そのものであることを認識し、ろう文化への理解を深める。
【事前学習】デフリンピックと聴覚障がいに関する一般的な知識を得ておき、授業に臨む (2時間)
【事後学習】言語と文化の密接な関係について復習しておく (2時間)
【授業形態】対面授業
9 障がいという異文化②:前回の授業の内容を踏まえて、さらに聴覚障がいと手話に関する理解を深めるため、DVDを視聴し、自分たちが持っていた「無意識の意識」アンコンシャスバイアスに気付く。
【事前学習】手話言語に関する知識を整理しておく (2時間)
【事後学習】聴覚障がいだけでなく他の障がいに関しても、自身が持っている「無意識の意識」についてさらに考えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 障がいという異文化③:「瞽女(ごぜ)」や「琵琶法師」等をとおして視覚障がい者の文化を理解するとともに、近代以前の日本における視覚障害者の姿を知ることで、「障がい者」の存在についての新たな視点を獲得する。また、「瞽女」について理解を深めるためドキュメンタリー映画を視聴する。
【事前学習】視覚障がいに関する一般的な知識を得ておき、授業に臨む (2時間)
【事後学習】明治以前と以降の「視覚」に対するとらえ方の変化と日本文化の変容とを関連付けて考えてみる (2時間)
【授業形態】対面授業
11 障がいという異文化④:前回に続き、「視覚障害と文化」について学ぶ。全国巡回する「ユニバーサルミュージアム~触る展示」やイタリアにある「手で触ることのできる美術館」オメロ美術館について学び、単なる異文化としての盲人の存在ではなく、新たな可能性と共生の方向性を見いだす。イタリアのオメロ美術館の取り組みを描いたDVDを視聴し、「視覚に頼らない感性の多様性」について考えるとともに、「ユニバーサル」という概念、共生社会の構築について考える。
【事前学習】近代以降に欧米からもたらされた「福祉」と前近代の共生の概念の違いを確認する (2時間)
【事後学習】障がいをリスクではなく「文化」として捉える考え方を復習し、身につける (2時間)
【授業形態】対面授業
12 障がいという異文化⑤:日本人は障がい者とどのように共生してきたか。胎児性水俣病等における「福子」「宝子」の民俗から共生社会のあり方を学ぶ。
【事前学習】胎児性水俣病に関する知識を得ておき、授業に臨む (2時間)
【事後学習】障がいについて学んだ5回の授業をとおして、障がい者という存在、共生について考える (2時間)
【授業形態】対面授業
13 食と異文化:日本人のソウルフード、ラーメン・カレーは和食か。日本の食文化の歴史は常に異文化受容によって形成されてきた。食生活における外国文化の受容について学びながら、その根底には米文化が存在していることを認識する。さらに古来より日本人が稲作を選んだことにより形成された日本文化の特色を学ぶ。その上で、稲作以外の雑穀文化や麦作文化、さらには肉食文化との比較により、食生活がもたらす社会構造の違いを考える。
【事前学習】米を中心とした食生活により形成された日本文化についてあらためて考えてみる (2時間)
【事後学習】食文化から日本社会の多様性を理解する (2時間)
【授業形態】対面授業
14 日本文化の多様性と異文化という視点:アンコンシャスバイアスについて学ぶ。異文化は特別なものではなく、さまざまな形で身の回りに常に存在している。性別(ジェンダー)、年齢(世代)も異分化と捉えることで、共生のためにはスキルを必要とすることが理解できる。そのスキルはアンコンシャスバイアスに気付くことから始まる。自らのアンコンシャスバイアスを再認識することを学ぶ。
【事前学習】これまでの学びを踏まえて、あらためて自分が意識してこなかった日本における多様な文化について考えてみる (2時間)
【事後学習】自らのアンコンシャスバイアスを再認識し、異文化理解と共生についてあらためて考える (2時間)
【授業形態】対面授業
15 まとめと振り返り:日本が単一民族による国家、均質的な国民性を持つという考え方が幻想に過ぎず、その幻想を作り出したのは効率を求める「近代」という枠組みであったことを理解するとともに、健全な社会を作るためには多様性こそが重要であり、日本文化は本来多様性に満ちたものだったことを理解する。
【事前学習】これまでの授業で学んだことを振り返り、身の回りの異文化にはどうのようなものがあるかについてあらためて考えてみる。疑問点があればまとめておく (3時間)
【事後学習】「異文化」をどのように捉えるべきか、これまで学修した内容を整理し、理解する (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 使用しない
参考書 知里幸恵 『アイヌ神謡集 (岩波文庫補訂新版)』 岩波書店 2023年
齋藤陽道 『異なり記念日』 医学書院 2018年
「アイヌ神謡集」はインターネットの「青空文庫」でも見ることができます。
上記以外の文献に関しては、必要に応じて適宜、授業内にて紹介します。
成績評価の方法及び基準 レポート:学修した内容に沿ったテーマを選択し、自ら調査・研究し、執筆した期末レポートを提出することでA1,2,3の理解度・達成度を確認し、評価する(40%)、授業参画度:リアクションコメントの内容により、自ら考え学ぶ姿勢とA1,2,3の理解度・達成度により評価する(60%)
病欠、忌引き、就職活動等、やむを得ないと認められた欠席に関しては、期末レポートと同時期に公表する欠席者用特別課題を提出することにより、授業参画度評価を行います。ただし提出に当たっては、事前あるいは事後に理由を明記した欠席届を提出し、やむを得ないと認められていることを条件とします。
期末レポートおよび欠席者用特別課題はCanvasLMS上に提出してください。
オフィスアワー 授業時間の前後に受け付けます

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