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教育学特殊講義1

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令和2年度以降入学者 教育学特殊講義1
教員名 廣田英樹
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 教育学科
学期 通年 履修区分 選択
授業形態 対面授業
授業概要 「なぜ学校に行かなきゃならないの?」そう子どもに聞かれたらどう答えたら良いのでしょう。率直に「勉強しないと良い仕事に就けないから」と言うのでしょうか。それとも本当は自分でも確信が持てない「きれいごと」を並べるのでしょうか。この授業では、この質問への答えを考えるために、学校は、どのような時代に、なぜ生まれて、その後どのような変化を経て現代につながっているのか、日本と欧米の国々での歴史を解説します。歴史を学べば、現実の学校は常に「未完成」の状態にあり、変化を重ねてきたことが分かるでしょう。それを知ることは、「なぜ学校に行かなければならないのか」について考えるとともに、「これからの学校とはどういう場であってほしいのか」についても考える手がかりを与えてくれるはずです。
授業のねらい・到達目標 〈授業のねらい〉
一握りの特権階級の子どものための教育はどんな時代にもありましたが、すべての子どもが通う学校がつくられるようになったのはそれほど昔ではなく18世紀の後半です。この授業では、日本の他に、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカを取り上げて、学校の歴史を学びます。学校の歴史はそれぞれの国で大きな違いがありますが、たくさんの人が理想を掲げて努力したおかげで、どの国でも教育の機会の平等は大きく進みました。その一方で、生まれながらの身分によって地位が決まっていた社会から、教育を通じて人が「選別」される社会になる中で、学校は様々な問題を抱えるようにもなっています。これからの学校はどうあるべきか、その前提として、私たちはどういう社会を作っていくのか、広い視野で考えられる力を持ってもらうことがこの授業のねらいです。(A-1-3, A-5-3)
〈到達目標〉
・世界の学校教育の歴史を理解する。
・なぜ現在の学校が問題を抱えているのかを理解する。
・私たち一人ひとりが未来の社会と学校について考える責任があることを理解する。
〈ディプロマポリシーとの関係〉
この科目は文理学部(学士(教育学))のディプロマポリシーDP1, DP5及びカリキュラムポリシーCP1, CP5に対応しています。
授業の形式 講義
授業の方法 基本的に講義を中心にしますが、受講生の人数に応じて、話し合いなども導入したいと思っています。
授業計画
1 学校以前の時代1)最初に、今のような学校が生まれる前の時代について解説します。具体的には、ヨーロッパが、5世紀に始まる「中世」という時代から、ルネッサンスを経て、18世紀後半に始まる「近代」という時代に変わっていく長い歴史を、文化や科学、宗教を軸にして駆け足で眺めます。
【事前学習】ルネッサンス、天動説と地動説、宗教改革の3つの中からいずれか一つを調べておく (1時間)
【事後学習】中世の人々の精神を支配していたキリスト教の権威が、経済が発展し、人々の文化的な活動が活発になるにつれて、次第に揺らいでいったことを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
2 学校以前の時代2)18世紀になると、人々がより幸福に生きることができる社会のあり方について考える思想家が数多く出現しました。現在「啓蒙思想」と呼ばれている彼らの思想について解説します。
【事前学習】ジョン・ロック、ジャン・ジャック・ルソー、アダム・スミスの3人のなかからいずれか一人を調べておく (1時間)
【事後学習】「啓蒙思想」とされる思想家の考えも多様であり、フランスとイギリスとでかなり違っていることを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
3 フランス革命と公教育1)1789年にフランス革命が起こり、そこで「啓蒙思想家」のコンドルセが、世界で初めて、すべての人のための、共通で、無償の「公教育」をつくることを唱えます。彼がどのような経緯で公教育を構想するに至ったのかを解説します。
【事前学習】コンドルセ、ルイ16世、マリー・アントワネットの3人の中でいずれか一人を調べておく (1時間)
【事後学習】コンドルセの公教育は、既に革命が起きる以前のフランス王国の時代に、国を近代化するために構想されていたことを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
4 フランス革命と公教育2)コンドルセの公教育の構想の具体的な内容と、その後のフランス革命の展開、そして約100年後にようやく彼の公教育の構想がフランスで実現するまでを解説します。
【事前学習】ロベスピエール、もしくはナポレオンについて調べておく (1時間)
【事後学習】コンドルセの公教育の構想の内容とともに、その基本的な要素が日本の教育基本法にも受け継がれていることを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
5 ドイツの学校教育1)フランスの隣のドイツは、18世紀にはフランスやイギリスに比べて発展が遅れた国で、しかも小さな国々に分裂していました。その中の一国だったプロイセンでは、国を豊かにして強い軍隊を作るために、農民の子どもを学校に通わせることに力を入れていたことを解説します。
【事前学習】かつて、現在のドイツのもととなったプロイセンという国が存在したことを調べておく (1時間)
【事後学習】国王の命令は民衆に教育を広く行き渡らせる効果があったが、人々が教育を通じて多様な可能性を開花させるようなことは望まれていなかったことを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
6 ドイツの学校教育2)その後プロイセンはフランスのナポレオンとの戦争に敗北して、国の近代化を進める必要性を痛感します。このため、多くの人々が新しい「国民教育」をつくろうと努力しましたが、保守的な人々の反対が強く、最終的には第二次世界大戦に敗北するまで、すべての国民が同じ小学校に通うことは実現しませんでした。
【事前学習】当時のドイツの教育者だったディースターヴェークについて調べておく (1時間)
【事後学習】フランスだけでなくドイツでも、今のような学校教育は古い考えの人達との戦いを通して実現したものであることを理解する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
7 イギリスの学校教育)イギリスでは、現在でも上流階級の子どもが通う学校と、それ以外の子どもが通う学校は小学校の時から別々になっています。庶民の子どもの教育は、19世紀に広く行われていた児童労働の規制の一環として義務付けられるようになるなど、様々な経路を通して徐々に学校教育が形づくられて行きましたが、上流階級のための教育は、それとは全く別の世界で行われていました。
【事前学習】「イギリスは階級社会だ」と言われるが、このことの意味について調べておく (1時間)
【事後学習】階級社会を支える人間観とはどのようなものか、労働者階級は単に不幸な存在なのか考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
8 アメリカの学校教育)アメリカでは教育は州の権限とされています。東部の諸州では、教育熱心だったピューリタン(清教徒)の伝統もあり、早くから存在していた公教育の構想は、フランスのコンドルセにも影響を与えた可能性があります。その一方で、南部の諸州では黒人奴隷の人々の教育という課題もありました。
【事前学習】1776年のアメリカ合衆国の独立、もしくはアメリカの黒人奴隷の歴史について調べておく (1時間)
【事後学習】フランス革命に先立ってすべての人間の平等を唱えたアメリカ独立宣言と、奴隷制度との矛盾について考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
9 日本の学校教育)日本では1868年に明治維新が起きて、欧米諸国に追いつくための近代化が始まります。その中で重要な役割を担ったのが学校の整備でした。明治の新政府は、最初から、すべての人が通う共通の学校を構想する先進性を持っていましたが、他方では、伝統的な考えを持つ人たちの考えを反映した教育勅語もつくられました。
【事前学習】明治維新について調べておく (1時間)
【事後学習】明治時代につくられた教育勅語と戦後につくられた教育基本法との違いについて考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
10 新教育運動)ここまでは、普遍(誰でも)・共通(同じ学校で)・無償(タダで)学べるということに着目して学校の歴史を見てきましたが、それとは別に「どういう教育をするのか」という問題があります。19世紀末くらいから、大人が一方的に子どもに知識を伝達する(詰め込む)という伝統的な教育方法に対して疑問を提する人たちが出てきました。この「新教育運動」とも称される動きについて解説します。
【事前学習】1981年に出版されて大ベストセラーとなった「窓際のトットちゃん」について調べておく (1時間)
【事後学習】新教育運動の視点から、現在の日本の学校教育について考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
11 第二次世界大戦後の欧米諸国の教育)日本や欧米諸国では、20世紀前半には学校教育がほぼ完成しました。しかしその一方で、徐々に学校教育が抱える問題も明らかになっていきます。欧米諸国は戦後どのように教育問題に取り組んできたのか、1970年代くらいまでの動きを解説します。
【事前学習】1960~70年代の映画を見て当時の社会の雰囲気を感じ取る。 (2時間)
【事後学習】各国の取り組みの共通点、違う点について考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
12 第二次世界大戦後の日本の教育)戦後の日本では、中学校までの教育が新たに義務化され、高校進学者が急増し、さらに大学の受験競争が激化するようになりました。すると「荒れる中学」が出現し、今度はそれを抑え込もうと「管理主義教育」が強化されるようになります。いじめや不登校も深刻化してきます。
【事前学習】「管理主義教育」(または「管理教育」)という言葉について調べておく (1時間)
【事後学習】欧米諸国と日本との共通点、違う点について考えてみる。 (1時間)
【授業形態】対面授業
13 日本の教育の現在地)最後に、PISAなどの国際的な学力調査や、児童の権利条約に基づく日本政府に対する勧告などを紹介し、世界の中で見た、日本の教育の現在地について考えてみます。
【事前学習】PISA(2022)の結果について調べておく (1時間)
【事後学習】日本の子どもたちが国際的に見て高い学力を持っていることの意味について考えてみる。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
14 補足の講義と質問への応答)これまでの講義の中で、特に重要と思われる点について改めて説明するとともに、受講生からの質問に応答します。
【事前学習】いままでの講義でよく分からなかった点や疑問に感じた点、さらに知りたいと思った点を確認しておく (1時間)
【事後学習】いままでの講義と自分自身の理解を頭の中で整理する。 (1時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
15 まとめと授業内試験)これまでの授業の内容についての受講生の理解を試験で確認し、その後に解説を行います。試験をどのような形で行うかは、受講者の人数等も勘案して検討しますが、大事なことは、授業を通じて自分なりの問題意識を持ってもらうことであり、歴史上の出来事の知識を記憶しているかどうかは重視しません。
【事前学習】これまでの授業で学んだことを復習する。 (2時間)
【事後学習】今までの授業全体を踏まえ、さらに自分自身でも調べて、現在の学校教育が抱える問題について考えてみる。 (2時間)
【担当教員】廣田英樹
【授業形態】対面授業
その他
教科書 使用しない
参考書 尾上雅信 『西洋教育史 (MINERVAはじめて学ぶ教職)』 ミネルヴァ書房 2018年 第1版
成績評価の方法及び基準 試験(70%)、授業参画度(30%)
歴史に関する知識の記憶は重要ではありません。歴史を通して理解したことを、現在の問題を考える上で役立てられることが重要です。授業の中での質問を歓迎します。
オフィスアワー 対面授業終了後に、質問や相談を受け付けます。メールでの連絡も受け付けます。

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