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教育学特殊講義2

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令和2年度以降入学者 教育学特殊講義2
教員名 田部絢子
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 教育学科
学期 前期集中 履修区分 選択
授業形態 対面授業
授業の形態 この科目は教育学科の専門科目であり、各回の授業は教育学科と法務省矯正局少年矯正課の連携・協働のもとに実施される。
授業概要 教育学と矯正教育は、どちらも子ども・若者の成長・発達を支援する教育科学であり、矯正教育は教育学で培われた発達理論や支援方法論を特別な支援が必要な少年少女に適用する形で発展してきました。二つの分野は根底で深く結びついている。
矯正教育は、非行・犯罪に陥った少年少女に罪を償わせるだけでなく、再び社会において生きがいをもって参加できるように支援するものであり、これは教育学が目指す「全面的な人間形成」に通じる考え方である。非行・犯罪に至った背景には、少年少女の「小児期逆境体験(ACEs)」等に示される劣悪な家庭生活環境、愛着形成不全、学習の空白・遅れに対する放置等の多様な要因がある。矯正教育では、知識の習得だけでなく、発達困難への支援や社会性の育成にも力を入れ、全人間的な成長・発達の促進を目指すが、こうした教育的アプローチは教育学の発展においてもきわめて示唆的である。

この科目は、教育学、矯正教育学、心理学、社会福祉学等の幅広い学問領域にわたる内容で構成されている。さらに、法務省矯正局等の矯正行政や少年院の矯正教育の実務に実際に携わっている講師が多いことが特徴である。4日間の集中講義のうち、1日は少年院・少年鑑別所・医療刑務所等の矯正関連施設の見学を実施する。講義(理論)と施設見学(実践)を往還して、教育学と矯正教育はどのように交差しているのか、また、予防的・発達支援的な矯正教育の可能性を探るために学校教育が取り組むべき課題は何かを学ぶことを通して、多様な市民の人権と発達が保障されるインクルージョン社会のあり方を理解していく契機とする。

とくに、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の教員、法務教官・刑務官・矯正施設職員、ソーシャルワーカー、カウンセラー、矯正・教育行政の職員などを目指す学生には、発達上の多様な困難・支援ニーズを有する子ども・若者の発達支援にかかわる事象を深く理解し、解決すべき問題を認識する機会になる。
授業のねらい・到達目標 授業のねらい:非行・触法等の発達上の困難を有する子ども・若者への発達支援や教育の基礎的理解を行う。それとともに特別ニーズ教育・インクルーシブ教育の基本理解と展望は21世紀に生きる市民に不可欠の教養であり、多様な市民の人権と発達が保障されるインクルージョン社会のあり方を考えていく契機としていく。

到達目標:仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察することの重要性を説明できる(A-6-3,A-7-3)。事象を注意深く観察して,解決すべき問題を認識できる(A-6-3,A-7-3)。

<ディプロマポリシーとの関係>
この科目は文理学部(学士(教育学))のディプロマポリシーDP6,DP7及びカリキュラムポリシーCP6,CP7に対応している。
授業の形式 講義、演習
授業の方法 (1)授業の形式:講義およびフィールドワーク

(2)具体的な授業方法
 ①本講義は授業日にCanvasにて講義資料を配布する。
 ②教室内外でのグループ・ディスカッション、グループ・ワークを含む。
 ③成績評価は試験に替るレポートおよび必要に応じて課題提出、合計100点により行う。
 ④レポート等の提出課題については、提出日後の講義やCanvasLMSを通して、フィードバックを行う。
 ⑤やむを得ず対面授業に参加できない学生の代替方法・要件:急病等の諸事情によりやむなく対面授業に参加できない場合、Canvasに掲載している当該講義の配布資料等を学習する。施設見学は別日程を設けない。

(注)8月26日(水)は1限~4限に相当する時間帯に、東京都昭島市(JR青梅線・東中神駅)にある矯正関連施設にて施設見学を行います。
午前:東日本成人矯正医療センター参観
午後:矯正研修所参観(昼食、東日本少年矯正医療・教育センター及び東京西少年鑑別所の概況説明)、東日本少年矯正医療・教育センター参観、東京西少年鑑別所(東京西法務少年支援センター)参観
*必ず出席すること。遅刻厳禁。
*現地もしくは最寄り駅集合解散、参加費無料、交通費・昼食代は自己負担、服装はシャツ・長ズボン
*昼食の持参は可能、食堂利用の場合は事前申し込み制
*当日のスケジュールの詳細は講義やLMSを通じて案内します。
履修条件 文理学部全学科の学生が履修可能であるが、集中講義は対面授業とフィールドワーク(矯正関連施設見学)で構成され、その「すべてに必ず出席する」ことを求める。
なお、少年院・少年鑑別所等の矯正教育施設における見学を行う際に公共交通機関及び職員用食堂を利用するため、交通費・昼食代は各自負担とする。
授業計画
1 オリエンテーション/近年の少年非行の動向について講義する
ゲストティーチャー:矯正研修所 青木治氏
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
2 犯罪・非行の理解(少年矯正の歴史的展開と法的基盤含む)について講義する
ゲストティーチャー:公益財団法人矯正協会 木村敦氏
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
3 発達上の課題・困難を有する非行少年の理解と支援(身体面・医療を中心に)について講義する
ゲストティーチャー:法務省矯正局矯正医官
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
4 少年院の矯正教育課程(矯正教育学)及び少年矯正と学校教育の接点と課題について講義する
ゲストティーチャー:矯正研修所 小山定明氏
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
5 少年院処遇の実際① 東京西少年鑑別所にてフィールドワークを行う
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
6 少年院処遇の実際② 東京西法務少年支援センターおよび矯正研修所にてフィールドワークを行う
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
7 少年院処遇の実際③ 東日本少年矯正医療・教育センターにてフィールドワークを行う
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
8 少年鑑別所の実際④ 東日本成人矯正医療センターにてフィールドワークを行う
【事前学習】Canvas LMSから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
9 多様な背景を有する非行少年への教育的対応(外国人非行少年を含む)について講義する
ゲストティーチャー:日本大学文理学部教育学科非常勤講師・公益財団法人矯正協会特別研究員 仲野由佳理氏
【授業形態】対面授業
10 発達上の課題・困難を有する非行少年の理解と支援(教育・発達支援を中心に)について講義する
ゲストティーチャー:東海学院大学教授・東京学芸大学名誉教授:髙橋智氏
【授業形態】対面授業
11 発達上の課題・困難を有する非行少年の理解と支援(心理面を中心に)について講義する
ゲストティーチャー:東北福祉大学 小林万洋氏
【授業形態】対面授業
12 社会復帰支援と関係機関連携(学校・福祉との接続/更生保護・保護観察/協力雇用主等)について講義する
ゲストティーチャー:日本大学文理学部社会福祉学科 高石啓人氏、少年院社会福祉士
【授業形態】対面授業
13 諸外国の少年矯正と支援(北欧諸国およびアジア圏の少年教育・矯正施設等)について講義する
ゲストティーチャー:山梨大学 内藤千尋氏、矯正研修所 池田一氏
【授業形態】対面授業
14 少年院経験者・当事者が求める教育と支援(当事者団体セカンドチャンス!関係者による講話)について講義する
ゲストティーチャー:当事者団体セカンドチャンス! 才門辰史氏
【授業形態】対面授業
15 少年非行と教育・支援に関する現代的課題(まとめ)について講義する
ゲストティーチャー:法務省官房審議官 山本宏一氏
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書は特に定めず、講義資料の配布やダウンロードして入手すべき文献・資料等を指示する。
参考書 髙橋智・加瀬進監修/日本特別ニーズ教育学会編  『現代の特別ニーズ教育』 文理閣 2020年
内藤千尋 『発達障害等を有する非行少年と発達支援の研究』 風間書房 2021年
仲野 由佳理 『教育の〈自由と強制〉: 矯正教育におけるナラティヴ実践の機能に関する教育学的研究』 ちとせプレス 2023年
広田照幸・古賀正義・伊藤茂樹 編 『現代日本の少年院教育―質的調査を通して』 名古屋大学出版会 2012年
法務省矯正局編 『新しい少年院法と少年鑑別所法』 矯正協会 2014年
そのほか参考となる文献・資料等については講義において随時紹介する。
成績評価の方法及び基準 レポート:講義の学びおよび施設見学に関わる課題の提出による評価(100%)
オフィスアワー メール、Canvas LMSを用いて質疑応答を行う。
備考 非行は多くの場合、子どもが育つ環境や経験と深く関わっており、特に小児期逆境体験(ACEs)は非行のリスクを高めることが指摘されている。ACEsとは子ども時代に経験する心に傷を負うような出来事であり、身体的精神的性的虐待、家庭内暴力・面前DV、育児放棄・ネグレクト、家族の精神疾患、家族の薬物・アルコール依存、犯罪を犯す家族(親・家族の収監)等がある。

非行に対して少年院では矯正教育を行い、少年少女が社会で自立できるよう支援している。少年院は家庭裁判所から保護処分として送致された少年少女を収容し、立ち直るための矯正教育施設であり、再非行防止のための教育や社会復帰支援が行われている。これらの指導は、個々の少年の特性や教育上の必要性に応じた「個人別矯正教育計画」に基づいて実施される。

少年院を出た後も、住居がなかったり、地域に馴染めなかったりするなど、様々な困難に直面する少年は少なくない。特に親からの虐待経験を持つ少年少女には、帰る場所がないという問題も多く見られる。それゆえに少年院は、出院後に自立した生活を送る上で困難を抱える少年に対して、居住先の確保、医療・療養の支援、就学・就労の支援といった社会復帰支援も行っている。
社会復帰を円滑にするためには、ハローワーク、保護観察所、児童相談所といった関係機関との連携が重要である。また保護司による定期的面談や生活支援、就労支援なども行われている。

少年院に入所する少年少女の中には境界知能・経度知的障害・発達障害等に伴う発達困難を抱えている者も少なくない。彼らが非行に走る背景には発達特性による生きづらさや、適切な支援を受けられなかった経験があると考えられている。少年院では発達上の課題を抱える少年少女に対する支援が強化されている。
少年院では、発達上の困難を持つ少年たちに対して、社会生活への適応や対人関係のスキル習得に重点を置いた指導が行われている。
 ①支援教育課程: 少年院には、発達上の課題を持つ少年向けの「支援教育課程」が設置されており、社会生活への適応や対人関係を身につける指導が行われていいる。
 ②個別化された支援:各少年の学力や特性に応じた学習支援が提供され、基礎学力の向上や自己肯定感の育成、学習意欲の喚起を目指している。
 ③プログラム: 「相互の理解、問題の解決、怒りの扱い」を学ぶ「セカンドステップ」や、協調性を育む「コーディネーショントレーニング」などが実施されている。
 ④ガイドラインの活用: 法務省は「発達上の課題を有する在院者に対する処遇プログラム実施ガイドライン」を活用し、身体機能の向上に焦点を当てた指導も導入している。

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